トップメッセージ
~サステナビリティ経営について~

まごころの奉仕でお客様、社会、従業員への責任を果たす

 昨年の就任当初より企業理念の再整理に取り組み、朝日生命という企業の存在意義である「一人ひとりの”生きる”を支え続ける」という使命(Mission)を改めて明確化しました。当社は「お客様、社会、従業員に対する責任」を「経営の三大責任」とし、この責任を果たしていくことを企業活動のベースとする「まごころの奉仕」を基本理念としてきましたが、今般、理念体系を今日的な意味合いや考え方に再整理するとともに、社内外にもわかりやすく伝えるためにステートメントを策定しました。
 ステートメントの中では、「どんな時も誠実に、お客様に寄り添う。」という“お客様への責任”をはじめ、「信頼をかさねて、社会に必要な存在であり続ける。」という“社会への責任”、そして、「その誇りを胸に、私たちがまた次の安心をつくっていく。」という“従業員への責任”を表現し、これらが「一人ひとりの”生きる”を支え続ける」という使命(Mission)を実現するための基本理念であることを、明確に位置づけました。この過程では新しい理念をゼロから構築するのではなく、長きにわたって大切にしてきた理念の本質に立ち返り、一つひとつの言葉の意味を深く再考することを重要視しました。
 この理念とステートメントをもとに、会社の目指すべき姿をあらためて役職員全員に浸透させ、従業員が自身の仕事に誇りとモチベーションを持つ環境を醸成しながら、次のステージへ向かって邁進してまいります。

どんな時も誠実に、お客様に寄り添う
~「持続可能な営業職員チャネル」の構築

 お客様に選ばれる保険会社であるためにはどうすればいいか。それはお客様のご期待にしっかりお応えしていくことです。「この人に任せていればずっと安心」「何かあったときにすぐ対応してくれる」等、お客様から深く信頼される営業職員は当社の財産だと認識しています。生命保険はお客様と契約したところがスタートであり、お客様の人生にずっと寄り添っていく商品です。お客様は、営業職員のきめ細やかなアフターフォローの体制を求めて当社とご契約してくださっているわけです。
 営業職員の「丁寧なコンサルティングと真摯なサービス」は、我々がお客様に提供する付加価値の源泉です。サービスの内容やレベル感は時代に応じて変化するにしても、その本質は変わりません。
 環境変化に適応しつつ、営業職員チャネルの本来の価値をこれからもしっかり発揮できるようにすること、それが営業職員チャネルを持続可能なビジネスモデルにすることだと考えています。

信頼をかさねて、社会に必要な存在であり続ける
~「サステナビリティ経営」と「社会課題の解決」

 よき企業市民としてのサステナビリティ経営への取組みは、ポイントが二つあると思っています。
 一つ目は、「社会的責任」としての責任投資や地球温暖化・気候変動対策への取組みです。責任投資では、ESG(環境、社会、ガバナンス)等のサステナビリティに関する要素を考慮し、資産運用や投融資先企業との対話を推進しています。地球温暖化・気候変動対策では、「温室効果ガス排出量2050年度ネットゼロ」という削減目標に向け、ルールに基づいた誠実な活動を実施しています。
 二つ目は、「社会課題の解決」です。生命保険の持つ保障機能自体が社会保障の補完としての役割を担っていますが、単なる保障の提供に止まらず、その先にあるサービス分野を含めて、ソリューションを提供していこうという考えです。
 具体的には、介護問題に対するソリューションとして「介護・認知症エコシステム」の構築を進めています。現在、民間介護保険の世帯加入率は約20%と低く、介護問題が「単に給付金をお支払いするだけでは解決できない」という認識が背景にあります。このエコシステムは、介護のそれぞれのステージに合わせた介護サービス企業と提携し、給付金を具体的な介護サービスや予防プログラムに直接活用できる仕組みを目指しています。ネットワークの基盤としては、介護予防業者から要介護段階の施設・訪問サービス業者、器具提供事業者まで幅広い提携関係を構築します。単なる提携ではなく、信頼できる企業と具体的な給付金活用を通じて、サービスを「保険の延長線上」に位置づけます。この構想により、「朝日生命の介護保険に加入することで、介護に関する安心感を社会的に提供できる」というレベルにまでサービスを高めていきたいと考えています。
 このように、基盤となる社会的責任の遂行と、競争優位の確立につながる社会課題への積極的な貢献という両側面をバランスよく進めることが、今後のサステナビリティ経営の中心課題と考えています。

エコシステム:さまざまな要素が相互に連携して価値を生み出す仕組み

その誇りを胸に、私たちがまた次の安心をつくっていく
~「この会社に賭けてみたい」と思える魅力を

 人的資本経営においては、会社として研修や教材の提供を行うだけでなく、従業員自身が自分の役割や責任を自覚し、課題解決に積極的に取り組む姿勢を持てる仕組みづくりが不可欠です。日常業務に追われる環境を改善し、従業員が創造的な仕事に集中できる環境を整備していくためにも、業務改革と従業員一人ひとりの能力向上をセットで進めていきます。
 具体的には、各部署が将来の人員計画や業務量を想定し、システム化の対象や必要な業務改革を、主体的に考えていくことに取り組んでいます。このプロセスを通じて、付加価値の低い業務は廃止し、標準的に大量処理が可能なものはシステムやAIに委ね、「人はどの分野で付加価値を高めていくか」というテーマにしっかり取り組み、業務のクオリティを高めていきます。
 また、現場との対話を通じて従業員の真面目さが会社の強みであることを確認し、それゆえに会社の目指す姿・方向性を共有することの重要性を再認識しました。短期的な成果ではなく、中長期的な成果を重視する方針を明確に打ち出し、それに基づいた計画とすることで、従業員が的確な方向へ努力できる環境を整備しています。
 特に若手との対話では、会社の将来への不安が浮き彫りになりました。彼らは「今の仕事のやり方が将来も続くのか」「10年後この会社で働き続けるべきか」といった疑問を抱いています。このため、会社の将来像を具体的に示し、その実現に向けてどういう変革に取り組んでいくか明確に伝えることで信頼を築きます。かつてのように長く勤めることが当然ではない世代に対し、会社の将来性や社会的使命を体感できる機会を提供し、「この会社に賭けてみたい」と思える魅力を打ち出す必要があります。曖昧な理想論ではなく、実現可能な計画と現状の関連性を示すことで、従業員に安心感と自信を与えられる体制づくりが重要だと考えます。

人生100年時代 まごころ尽くして

 生命保険会社にとって最も大事なことは「将来にわたり、会社が健全な状態で事業を継続すること」であります。「お客様に確実に保障を提供」し、「お客様の生活を守り続けること」こそが我々の使命であり、ご契約をいただくことは、ゴールではなくお客様との長いおつきあいのスタートであると捉えています。
 「一人ひとりの”生きる”を支え続ける」という使命(Mission)を掲げ、これからの人生100年時代、まごころ尽くしてステークホルダーへの責任を果たしていく会社を、役職員全員で目指してまいります。