よき企業市民としてのサステナビリティ経営への取組みは、ポイントが二つあると思っています。
一つ目は、「社会的責任」としての責任投資や地球温暖化・気候変動対策への取組みです。責任投資では、ESG(環境、社会、ガバナンス)等のサステナビリティに関する要素を考慮し、資産運用や投融資先企業との対話を推進しています。地球温暖化・気候変動対策では、「温室効果ガス排出量2050年度ネットゼロ」という削減目標に向け、ルールに基づいた誠実な活動を実施しています。
二つ目は、「社会課題の解決」です。生命保険の持つ保障機能自体が社会保障の補完としての役割を担っていますが、単なる保障の提供に止まらず、その先にあるサービス分野を含めて、ソリューションを提供していこうという考えです。
具体的には、介護問題に対するソリューションとして「介護・認知症エコシステム※」の構築を進めています。現在、民間介護保険の世帯加入率は約20%と低く、介護問題が「単に給付金をお支払いするだけでは解決できない」という認識が背景にあります。このエコシステムは、介護のそれぞれのステージに合わせた介護サービス企業と提携し、給付金を具体的な介護サービスや予防プログラムに直接活用できる仕組みを目指しています。ネットワークの基盤としては、介護予防業者から要介護段階の施設・訪問サービス業者、器具提供事業者まで幅広い提携関係を構築します。単なる提携ではなく、信頼できる企業と具体的な給付金活用を通じて、サービスを「保険の延長線上」に位置づけます。この構想により、「朝日生命の介護保険に加入することで、介護に関する安心感を社会的に提供できる」というレベルにまでサービスを高めていきたいと考えています。
このように、基盤となる社会的責任の遂行と、競争優位の確立につながる社会課題への積極的な貢献という両側面をバランスよく進めることが、今後のサステナビリティ経営の中心課題と考えています。
※エコシステム:さまざまな要素が相互に連携して価値を生み出す仕組み