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がんとはどんな病気?仕組み・種類・治療方法についてわかりやすく解説

「日本人の2人に1人がかかると言われているがんとは、どんな病気なのだろう」
「がんは治らない病気と聞いたことがあるから、かからないか心配…」

このようながんとは何かよくわからないという方向けに、この記事ではがんという病気についてわかりやすく解説。がんとはどのような仕組みで発症する病気なのかといった基礎知識を始め、種類や治療方法まで理解できます。がんについて正しく理解し、将来に対する備えを行うための参考にしてください。

※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。

がんとはどんな病気?

「がん」という病名は普段耳にする機会も多いですが、しかし、実際にがんがどのような病気なのか知らないという人もいるのではないでしょうか。がんとはどのような病気なのか、発症の仕組みからわかりやすく解説します。

がんは遺伝子の突然変異で生まれる死なない細胞

がんはわかりやすく言うと、遺伝子の突然変異によって生まれる死なない細胞です。人間の身体は約60兆個の細胞から構成されていて、生命を維持するために細胞分裂を繰り返しています。その際に遺伝子にコピーミスが起こり、細胞分裂を繰り返し続ける死なない細胞が突然変異で発生することがあります。それががん細胞です。正常な細胞には寿命があり、細胞分裂によって増え続けることはありません。

このような遺伝子に異常をもたらす要因として、

  • 化学物質などの外的要因
  • 食事・喫煙などの生活習慣
  • 仕事や生活におけるストレスなどの心理的要因

などが関与しているという説が一般的です。生活の見直しによる健康的な生活は、がんの予防に効果があるとされていますが、完全ながんの予防方法はまだありません。

遺伝子の異常によって発生したがん細胞が蓄積されてかたまりになると「がん」になり、その周囲に広がりやすくなります。発生した場所だけでなく、周りの器官にもがんが広がることを「浸潤」と言います。さらにがんが血管やリンパ管に入り込み、他の器官にたどり着いて広がる「転移」によってがんは全身に広がっていくことになるのです。 このように、がんは遺伝子の異常によって発症する病気であり、人から人に感染する病気ではありません。

悪性腫瘍と良性腫瘍

がんは悪性腫瘍と呼ばれることもあります。腫瘍は、何らかの原因によって体の中にできる細胞のかたまりのことです。悪性腫瘍はがんとほぼ同じ意味で扱われ、増殖を続けて体の中に広がっていく腫瘍を意味します。悪性腫瘍に対し、良性腫瘍は浸潤や転移はせず、周りの組織を押しのけるように増えます。良性腫瘍はできる箇所によっては症状が出ることはありますが、手術で取りきれば再発することはありません。

このように、悪性腫瘍か良性腫瘍なのかにより、身体に対する影響が大きく異なります。

がんは2人に1人はかかると言われている身近な病気

実は、がんはとても身近な病気です。がん情報サービスの最新がん統計によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性で65.0%、女性で50.2%とあります。つまり、日本人の2人に1人が一生のうちにがんと診断されるということです。

  • 日本人が一生のうちにがんと診断される確率は(2018年データに基づく)
    男性65.0%(2人に1人)
    女性50.2%(2人に1人)

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

早期発見によりがんの治療率は上がる

不治の病というイメージのあるがんですが、早期発見によって治療率は上がります。現在は、半分程度のがんが治療可能であると言われています。ただし、早期のがんの場合には、自覚症状がほぼ出ません。そのため、定期的に検査を受けて、がんの初期段階で発見することがとても重要です。

がんの種類

がんは発生した細胞により、癌腫・肉腫・血液がんなどさまざまな種類に分類が可能です。以下で、それぞれのがん種類の特徴やおもながんの種類について解説します。

固形がん

固形がんとは、臓器や組織などで腫瘍ができるがんの総称。胃がん・肺がん・乳がん・大腸がんなどが固形がんに含まれます。固形がんは、さらに癌腫と肉腫の2つに大きく分けられます。

癌腫

癌腫は、上皮細胞と呼ばれる体の表面を覆う表皮や、臓器など粘膜部分の上皮細胞で発生するがんです。固形がんの多くは、上皮で発症します。

癌腫のおもな分類は以下の通りです。

  • 肺がん
  • 乳がん
  • 胃がん
  • 大腸がん
  • 子宮がん
  • 卵巣がん
  • 頭頸部がん

癌腫の特徴として、かたまりとなって浸潤や転移し、がんが進行することが挙げられます。

肉腫

肉腫は、非上皮細胞とよばれる骨や内臓の壁の、内側の筋肉などを構成する細胞で発生するがんです。肉腫としてよく知られている病気として、骨肉腫があります。骨肉腫は若い世代の方が発症する可能性の高いがんです。 その他にも、 横紋筋肉腫 ・平滑筋肉腫 ・線維肉腫 ・脂肪肉腫 ・血管肉腫 などが肉腫に分類されます。
肉腫の特徴として、癌腫と同様にかたまりとなって浸潤や転移によってがんが進行することが挙げられます。

血液がん

血液がんは、骨髄・リンパ節内の細胞などの造血組織の異常によって発生するがんです。造血組織とは、赤血球・白血球・血小板などの血液細胞を作る体内組織を指します。血液がんに分類されるのは、白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などです。

血液がんは、固形がんのようにかたまりを作らずに増えることが特徴です。ただし、悪性リンパ腫の場合にはかたまりができ、腫れ上がることもあります。

がんのおもな治療方法について

がんのおもな治療方法は、手術・放射線治療・抗がん剤治療・免疫療法の4つです。以下で、それぞれの治療法の詳細や違いについて解説します。

手術

手術によって、臓器にできたがんを切除する治療方法です。浸潤、転移があると診断された場合には周辺組織やリンパ節も切除します。がんをすべて切除することができれば、完治が期待できる治療方法です。ただし、がん細胞が切除した部分以外にも残っていると、再発する可能性が残ります。

手術は身体にメスをいれるため、治癒や身体の回復までに時間がかかることがデメリットです。最近では切除する範囲を最小限にとどめる縮小手術や腹腔鏡手術など、身体への負担を減らす手術の普及も進んでいます。

放射線治療

放射線治療は、臓器にできたがんやまわりのリンパ腺などに放射線をかける治療方法です。放射線をかけることで、がん細胞の増殖を防ぎ、細胞を殺して治療します。放射線が持つ、細胞分裂を活発に行う細胞を殺しやすいという性質を活かし、正常な細胞には影響を与えにくいというメリットのある治療方法です。特定の範囲にのみ影響を与えるため、手術と同じ局所治療と言えるでしょう。

抗がん剤治療

抗がん剤治療は、がんの治療に効果のある化学物質を点滴や飲み薬で投与する治療方法です。化学物質が血液によって行き渡ることで全身へ効果があることが、手術や放射線治療といった局所治療とは異なります。全身に転移がある場合には、抗がん剤による治療が効果を期待できるでしょう。ただし、多くのがんを完治させるためには、抗がん剤治療だけではなく先ずは局所治療が必要です。

免疫療法

免疫療法は、人が持つ免疫能力を高めることでがん細胞を排除する治療方法です。抗がん剤治療と同じ様に全身に治療の効果が及びます。ニボルマブという免疫チェックポイント阻害剤が、代表的な免疫療法の薬です。現在は、免疫療法の保険診療の範囲は、一部のがんの種類に限られています。これまで一般的であった手術・放射線治療・抗がん剤治療に続き、今後の普及が期待される新たながんの治療方法です。

定期検査やがん検診による早期発見ががん治療のポイント

がんは日本人の2人に1人がかかる可能性のある身近な病気です。がんは進行すると治療が難しくなりますが、早期に発見できれば必ずしも治らない病気ではありません。定期的に検査を受け、がんが見つかった際には早急な対応が求められます。

すぐにできるがん予防は、健康的な生活習慣を身につけることです。それでもがんを完全に予防することはできません。いつ発症するかわからないがんに対する備えとして、がんを対象とした保険に加入するといざというときに安心です。がんの予防や備えを考えている方は、生活習慣の見直しと保険の見直しをぜひ行ってください。

監修者

東京医科大学形成外科
医師 興津 寛

熊本大学医学部卒業。中国に留学し、漢方医学の研修を受ける。専門領域は内科、皮膚科、整形外科、形成外科

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