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7大疾病に保険は必要なのか?必要性と選び方の5つポイントについて解説

「7大疾病のリスクに備える保険は必要なのだろうか?」という疑問を持つ方向けに、この記事では、7大疾病に備える保険の必要性と選び方の3つのポイントについて詳しく解説します。

※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。

そもそも7大疾病とは?

まず、生活習慣がおもな要因となって引き起こされる7大疾病とはどのような病気が含まれるのか、以下で概要を解説します。

3大疾病とは

3大疾病とは、日本人の死因上位を占めるがん・心疾患・脳血管疾患の3つの病気のことです。以下で、それぞれの病気について解説します。

がん

がんは、さまざまなことが要因となって身体の組織に異常な細胞ができる病気です。遺伝子に傷がつくことによって正常な細胞ががん細胞へと変化し、浸潤や転移によって周囲の組織や臓器を破壊します。食生活・運動習慣・睡眠時間の不足などの生活習慣もがんの発症と進行に関わるため、現代では生活習慣病の1つとして扱われます。

心疾患

心疾患とは、血液の流れが悪くなる動脈硬化によって引き起こしやすくなる狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気のことです。全身に血液を送る役割を果たす心臓の病気の総称で、心臓弁膜症・心筋症・心肥大・不静脈なども心疾患に含まれます。

動脈硬化は、おもに加齢や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の増加によって進行します。心疾患の原因の1つとなる動脈硬化は、内臓脂肪が多いと発症のリスクも高まりますので、減量することで予防や改善が可能です。そのため、心疾患も生活習慣病に分類されます。

脳血管疾患

脳血管疾患は、脳の血管に何らかの異常が発生し、脳細胞がダメージを受ける病気の総称です。脳血管疾患のおもな病気には、脳内出血・くも膜下出血・脳梗塞があり、これらは脳卒中とも呼ばれます。

生活習慣に関連した動脈硬化・高血圧・喫煙といった要素が、脳血管疾患の危険因子です。それだけでなく、運動不足・睡眠不足・ストレス・飲酒も脳血管疾患のトリガーとなることもあります。

7大疾病とは

3大疾病に糖尿病・高血圧性疾患・肝硬変・慢性腎不全の4つの生活習慣病を加えたものが、7大疾病と呼ばれる病気です。以下で、それぞれの病気について見ていきましょう。

糖尿病

糖尿病とは、身体の血糖値の上昇を抑える働きが低下して、血液中の血糖値が慢性的に高くなる病気です。神経障害や視力・腎機能の低下をまねき、進行すると日常生活に重大な支障をきたす場合もあります。

高血圧性疾患

高血圧性疾患とは、高血圧によって心臓や血管に常に負担がかかることで起きる病気を指します。高血圧は、安静時でも血圧が基準値以上に高くなっている状態です。それにより、心臓の負担が大きくなり、血管もダメージを受けるため動脈硬化が起きやすくなります。高血圧が起因となり動脈硬化が発症・進行することで、心疾患・脳血管疾患といった重大な病気につながるため注意が必要です。

肝硬変

肝硬変は炎症によって肝細胞の破壊と再生が繰り返され、徐々にかさぶたのような物質ができて硬くなり肝臓が機能しなくなる病気です。生活習慣としては、アルコールの過度な摂取が肝硬変を引き起こす要因となります。肝硬変が進行すると、肝臓がんとなる可能性が高くなります。

慢性腎不全

慢性腎不全は、腎臓の機能が徐々に低下して、正常に働かなくなる病気の総称です。進行すると、透析や腎臓の移植が必要になるケースもあります。不健康な食習慣・運動習慣や喫煙などは、心疾患・脳血管疾患・糖尿病といった他の生活習慣病と併せて慢性腎不全とも深く関わっています。

7大疾病に備える保険は必要ない?

7大疾病は、不健康な生活習慣がきっかけとなって引き起こされる身近な病気です。一方で、7大疾病に備える保険は必要ないという意見もあります。以下で、7大疾病に備える保険が必要ないと言われる理由を見ていきましょう。

医療費の自己負担は1割から3割で済む

日本には国民皆保険制度があるため、少ない負担で高水準の医療を受けられます。負担する費用は年齢や所得によって異なりますが、1割から3割です。その医療費を払える貯蓄があれば、特に保険料を支払って備える必要はないのです。

医療費を減らせる公的制度がある

病気にかかった人やその家庭の負担を減らすために、日本には高額療養費制度などの公的制度があり、それぞれの年齢や所得に応じた医療費の自己負担の限度額が定められています。自己負担額がその限度額を超えた分は、健康保険制度が負担してくれます。

7大疾病のみに限定される場合も

7大疾病に備える保険は、それぞれの商品により保障の内容が異なります。7大疾病以外の病気になった場合や、保険会社の定める所定の状態と合致しない場合には保険金や給付金が支払われない場合もあります。

7大疾病に備える保険が必要な理由

次に、7大疾病に備える保険が必要な理由について解説します。

7大疾病の治療にはまとまったお金が必要

7大疾病の治療には、ある程度まとまったお金が必要です。例えば3大疾病では、目安として30万円から60万円程度の自己負担額が発生します※1。高額療養費制度が適用になれば、限度額以上は負担する必要はありませんが、少なからず負担となることには変わりなく、退院時にはある程度のお金が一時的とはいえ必要となるのです。
※1当該費用は医療費の総額で、窓口負担は保険等の適用により原則3割(負担割合は 所得、年齢により異なる)となります。また、高額療養費制度などにより、自己負担額が軽減される場合があります。

参照:公益社団法人 全日本病院協会 診療アウトカム評価事業「医療費」
https://www.ajha.or.jp/hms/qualityhealthcare/indicator/09/

治療が長引けば費用が増加する

当然ですが、治療が長引けばそれだけ費用が増加していきます。
厚生労働省の「患者調査」によると、

  • がんでの平均在院日数:17.1日
  • 心疾患での平均在院日数:19.3日
  • 脳血管疾患での平均在院日数:78.2日

とあります。

3大疾病の中では、脳血管疾患による在院日数が際立って長く、一方でがんのように、入院日数はそれほど長くならないものの、退院後も長期の通院治療を必要とする病気もあります。治療が長引けばそれだけ自己負担額も増加するため、そうした費用を軽減するために7大疾病に備える保険は存在するのです。

参照:平成29年(2017)患者調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/03.pdf

公的医療保険対象外の費用は全額が自己負担に

公的医療保険が適用されない費用については自己負担が発生します。例えば、入院すると、食費代や差額ベッド代、リネン類のレンタル料、テレビ視聴料などもかかります。また健康保険の対象にならない治療を検討する可能性もあるでしょう。7大疾病に備える保険でまとまった一時金を受け取ることができれば、このような費用についても、ある程度はカバーすることができます。

7大疾病に備える保険を選ぶポイント

以下で、7大疾病に備える保険への加入を検討している方向けに、選ぶための3つのポイントについて解説します。

一時金の給付の有無

まず、7大疾病と診断された場合に、一時金の給付があるかを確認しましょう。まとまった一時金の給付があれば、突然の入院や手術になっても慌てなくて済みます。また、7大疾病の治療では、入院が長期にわたって必要となる可能性もあります。入院期間中が長引けば、出費が多くなるだけでなく、収入も減少します。家族の生活を守るためにも、まとまった金額の一時金が受け取れる保険を選ぶことは安心材料にできます。

再発時の保障

手術や投薬などの治療を受けた後、病気が再発した際にも保障を受けられる保険を選びましょう。7大疾病は、治療後にも病気が再発することが少なくありません。再発時も給付金が受け取れ、給付回数の上限がない保険を選ぶことをおすすめします。

医療保険との組み合わせ

7大疾病に手厚く備えたい場合、病気やケガなどでの入院や手術を保障する一般的な医療保険と組み合わせて加入する方法がおすすめです。すでに加入している医療保険はそのまま継続し、7大疾病に備えられる生活習慣病保険や特約などを追加で契約するのがよいでしょう。

7大疾病に備えて保険に加入しよう

まとまった費用が必要になる7大疾病には、保険で備えておくと安心ですね。入院の長期化、再発のリスクに備えるためにも、7大疾病に備える保険への加入をぜひ検討してください。

監修者

ファイナンシャルプランナー(CFP)
FP技能士1級 畠中雅子

新聞、雑誌、Web媒体などに多数の連載、レギュラー執筆を持つ。

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