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がん保険に入る必要性は?メリット・デメリットと加入がおすすめな人の特徴

日本人の2人に1人が罹患するといわれている「がん」のリスクに備えるために、がん保険への加入を検討している方もいるのではないでしょうか?今回は、がん保険に入る必要性や加入するメリット・デメリットについて解説します。

※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。

2人に1人は罹患する?がんの治療とその費用とは

まずは日本人のがん罹患率や治療にかかる費用について解説します。

日本人のがん罹患率

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」によると、日本人が一生のうちがんに罹患する確率は、男性65.5%女性51.2%(2019年)となっており、2人に1人は何らかのがんと診断される計算になります。また、がんで死亡する確率も男性26.2%女性17.7%(2021年)と決して低くない割合であることがわかります。

参照:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

関連記事:がんとはどんな病気?仕組み・種類・治療方法についてわかりやすく解説
https://www.asahi-life.co.jp/nethoken/howto/other/what-kind-of-disease-is-cancer.html

がん治療にかかる費用

厚生労働省「医療給付実態調査(令和2年度)」によると、がんで入院した場合の診療費は781,578円、通院1件あたり66,403円というデータがあります。高額療養費制度を利用すれば所得に応じて医療費の払い戻しを受けられるので、例えば月の医療費が100万円で窓口負担が3割のとき、実際の自己負担額は約8.7万円になります(70歳以上、年収約370~770万円の場合)。

ただし、公的医療保険の対象外の費用については全額自己負担になります。例えば先進医療の技術費用や入院時の差額ベッド代・食事代、セカンドオピニオンにかかる費用などが挙げられます。

参照:厚生労働省「医療給付実態調査 令和2年度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/iryouhoken/database/zenpan/iryoukyufu.html

厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

がん保険とは?代表的な給付金と特約

がん保険とは、がんに罹患した場合にさまざまな給付金や一時金を受け取れる保険です。診断・入院・手術・治療・通院などに応じて給付金を受け取ることができ、がんの治療に必要な医療費の負担を軽減できます。がん保険には以下のような給付金や特約があります。

診断給付金

診断給付金とは、がんと診断確定した場合に受け取れる給付金です。数十万円~数百万円のまとまった一時金を受け取れるため、入院・通院などで仕事ができず収入が減少してしまったときに、生活費の補填としても役に立ちます。

入院給付金

入院給付金は、がんの治療を目的として入院した場合に受け取れる給付金です。一日あたり数千円~数万円×入院日数分の金額を受け取れます。、入院時の差額ベッド代など、公的保険適用外の費用の補填に役立ちます。

手術給付金

手術給付金は、がんの治療のための手術を受けた場合に受け取れる給付金です。入院給付日額の10倍・20倍・40倍などと定められていることが多く、入院給付金の設定金額によって手術給付金の金額が変化します。

通院給付金

通院給付金は、がん治療のために通院した場合に受け取れる給付金です。従来はがん治療で入院し、退院後の一定期間における通院を保障するものが主流でしたが、近年では放射線や抗がん剤による入院を伴わない治療も対象とする商品もあります。

その他の給付金・特約

また、上記のような基本的な給付金の他に、先進医療や放射線治療などに備える給付金や特約があります。

  • 先進医療特約:先進医療を受けた場合の技術料相当額(通算2,000万円まで)
  • 放射線・抗がん剤給付金:放射線や抗がん剤による治療を受けた場合に一時金として支給(5万円~20万円程度)
  • 女性特約:女性特有のがんで手術を受けた場合に一時金として支給(数十万円程度)

必要に応じてこれらの保障を付加することで、がん治療にさらに手厚く備えることができます。

がん保険の必要性は?保険に入るメリット・デメリット

次にがん保険に加入するメリット・デメリットについて解説します。

がん保険に加入するメリット

がん保険に加入するメリットとしては以下のような点があります。

診断給付金でまとまったお金を受け取れる
一般的な医療保険では、入院・手術が発生しないと給付金を受け取ることができません。しかし、診断給付金のあるがん保険に加入していれば、がんと診断された段階でまとまった一時金を受け取れるので、治療に先立ってお金を準備することができます。
がんに特化した保障が充実している
入院・通院・手術給付金だけでなく、抗がん剤・放射線治療など治療の内容に応じた保障も用意されているので、一般的な医療保険と比較してさらに手厚くがんに備えることができます。特に先進医療による治療を受けた場合は、技術料が数百万円にもおよぶため、それをカバーできる保険に入っていると安心です。
長期間の治療でも安心
がんの治療は部位やステージによって、手術・入院が必要なものや通院だけで治療するものなど様々なケースがあります。仕事との両立が可能な場合もありますが、休職・退職した場合には収入が大きく減少する可能性もあります。治療が長期にわたると医療費が積み重なり、収入が減っていれば貯蓄から支払わざるを得ないこともあるでしょう。そのような時にがん保険の給付金があれば、なるべく貯蓄を減らさずに治療を継続していくことができます。

がん保険に加入するデメリット

がん保険に加入するデメリットについて解説します。

がん以外の病気は保障されない
がん保険はがんの治療をサポートするものなので、他の病気やケガに対する保障はありません。そのようなリスクに備えたい場合は医療保険に加入する必要があります。医療保険とがん保険、それぞれの保障内容の違いを理解して加入するようにしましょう。
免責期間がある
一般的に、がん保険には90日間の免責期間が設定されています。もし、がん保険に加入して免責期間にがんと診断された場合には保障を受けることができません。
保険料が負担になる場合も
医療保険や死亡保険に加えてがん保険にも加入するとなれば、いざという時の保障は充実しますが、その分保険料の負担は大きくなります。それぞれの保障と保険料のバランスを考慮して加入することが大切です。

どんな人におすすめ?がん保険の必要性が高い人の特徴

がん保険の必要性が高い人やがん保険の加入をおすすめする人の特徴について解説します。

貯蓄が少ない人

貯蓄が少ない人は、がんと診断されて収入が減ってしまった場合、生活費や医療費の支払いが困難になる可能性があります。がん保険に加入しておけば、給付金で生活費や医療費を補填できます。

貯蓄を治療費に回したくない人

貯蓄を切り崩し治療費に充てるのを避けたいという場合もがん保険を便利に利用できます。貯蓄は教育費や老後資金として確保しつつ、医療費は別で準備したいという方などにおすすめです。

フリーランスや自営業などの個人事業主

フリーランスや自営業などの個人事業主は、会社員よりも仕事ができなくなった場合のリスクが高い傾向にあります。がんと診断されて仕事ができなくなると、「家計の赤字」と「事業の赤字」が二重で負担になる可能性があるため、もしもの時への備えがより必要だといえるでしょう。

がんに罹患した場合に、治療の選択肢を拡げたい人

がん治療にはさまざまな種類があります。例えば公的医療保険の適用外となる先進医療については、技術料が全額自己負担となります。もしもがんに罹患した場合、治療の選択肢を拡げたいという方は、がん保険に加入する際に先進医療特約を付加しておくとより手厚い保障が受けられます。

まとめ

がんは日本人の2人に1人がかかる病気です。日本人の死因でもっとも多いのはがんであり、一命をとりとめたとしても治療が長期化しやすいのが特徴です。男女ともに50代以降に罹患率が高まるため、もしもの時に備えて、がん保険への加入を検討してみてください。

関連記事:がん保険の見直しは必要?メリット・デメリットと見直しのポイントについて解説
https://www.asahi-life.co.jp/nethoken/howto/hoken/cancer-insurance-review.html

監修者

ファイナンシャルプランナー(CFP)
1級FP技能士 松浦建二

大手ハウスメーカー、外資系生命保険会社を経て2002年よりファイナンシャルプランナーとして活動。青山学院大学非常勤講師。

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