生活習慣病

心疾患とは?代表的な4つの種類と治療方法

心疾患とは心臓に起こる病気の総称で、虚血性心疾患をはじめ様々な種類があります。今回は心疾患の代表的な病気とその治療方法について解説します。

心疾患とは?

心疾患の概要や基本情報について解説します。

心疾患の概要

心疾患とは心臓に起こる病気の総称で、何らかの原因によって心臓の働きに異常が起こり、血液循環が上手くいかなくなることで発症します。代表的なものとしては虚血性心疾患・不整脈・心臓弁膜症・心不全などがあり、日本国内での患者数は約305.5万人と多くの人が罹患している病気です。

参照:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/toukei.pdf

日本人の死因第2位は心疾患

また、年間で約21万人が心疾患で亡くなっており、全死因のうち約14.9%を占めています。日本人の死因で最も多いのはがん(26.5%)、次に多いのが心疾患です。この代表的な二つの疾患に、脳血管疾患(7.3%)を加えて三大疾病とよび、日本人の三大死因としても知られています。

参照:厚生労働省「人口動態統計」(令和3年)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/index.html

心疾患にはどんな種類がある?

心疾患にはさまざまなものがありますが、主な疾患について以下で解説します。

虚血性心疾患

虚血性心疾患とは、動脈硬化の影響で血液の巡りが悪くなり、心臓に酸素や栄養を供給する血管(冠動脈)が細くなったり詰まったりすることで発症する病気の総称です。虚血性心疾患には、大きく分けて、「狭心症」「心筋梗塞」の2種類があります。虚血性心疾患については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:虚血性心疾患とは?発症の原因・前兆と予防方法を解説
https://www.asahi-life.co.jp/nethoken/howto/seikatsu/ischemic-heart-disease.html

不整脈

心臓の心拍リズムが乱れ、不規則になったり、速く・遅くなったりする状態を不整脈といいます。不整脈にはさまざまな種類がありますが、大まかには「期外収縮」「頻脈性不整脈」「徐脈性不整脈」の3つに分類できます。期外収縮は脈が不規則になった状態で、健康な方にもストレス・過労などによって一時的にあらわれることがあります。頻脈性不整脈は心拍数が150回/分以上の状態を指し、激しい動悸や胸の不快感をともなうことが多いです。反対に、脈が遅くなる徐脈性不整脈では心拍数が50回/分以下になり、息苦しさやめまいなどが起こります。

心臓弁膜症

心臓は右心房・左心房、右心室・左心室という4つの部屋に分かれています。それぞれの部屋をつないでいるのが「弁」とよばれるもので、加齢や病気などにより働きが悪くなっていきます。弁の開きが悪くなると血液の通り道が狭くなって狭窄が起こり、逆に弁がうまく閉じなくなると血液の逆流(閉鎖不全)が起こります。心臓弁膜症の主な症状としては息切れや胸の痛み・動悸などがあらわれますが、高齢の方の場合、年齢のせいだと思い症状を自覚されていない場合もあります。

心不全

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液が送り出せなくなった状態のことをいいます。虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、不整脈、心臓弁膜症、高血圧などさまざまな疾患が原因となり心不全に至ります。初期症状としては息切れや足のむくみがみられることが多く、進行するに従って安静にしていても息苦しかったり、疲れやすくなったりといった症状が出てきます。急性心不全では呼吸困難などの激しい症状が急激にあらわれますが、慢性心不全では病状がゆっくり進行し徐々に身体機能が低下していきます。

心疾患の治療方法

心疾患の治療方法としては以下の3つの方法が代表的です。疾患により複数の治療方法を組み合わせて行われます。

薬物療法

虚血性心疾患では、狭くなった冠動脈の血管を拡げて発作を予防するカルシウム拮抗薬や、血栓をできにくくする抗血小板薬などが用いられます。慢性心不全の場合には、むくみや息切れなど心不全の症状を抑える利尿薬・強心薬とともに、心不全の進行そのものを抑えるベータ遮断薬・ARB/ACE阻害薬という薬で治療をすることができます。また、再発を予防するため、心疾患を悪化させる高血圧・糖尿病などの薬物治療もあわせておこなうこともあります。

カテーテル治療

カテーテル治療とは手や足の血管からカテーテルという細い管を挿入する方法で、主に虚血性心疾患の治療に使用されます。バルーンで冠動脈を拡げ、ステントいう金属製の筒を挿入することで狭窄や閉塞を改善します。また、頻脈性不整脈では心臓の中にある、その原因となっている部分を電流で焼くアブレーションという治療に、心臓弁膜症では人工弁を設置するためにカテーテルを用いるなど、外科手術と比較して負担の少ないカテーテル治療はさまざまな心疾患で活用されています。

外科手術

重度の心疾患の場合、外科手術で治療をおこなうこともあります。虚血性心疾患では狭窄・閉塞した冠動脈の迂回路を作るための「冠動脈バイパス手術」を、心臓弁膜症では弁の機能を回復させるための「弁置換術」「弁形成術」などが用いられます。これまでは全身麻酔下で人工心肺を使用し、一時的に心臓を止めながら手術をする開胸術という方法がとられてきましたが、一部の手術では低侵襲手術(MICS)という少ない切開で負担を小さくする方法もおこなわれるようになってきました。

まとめ

心疾患の国内患者数は約305.5万人(令和2年)、日本人の死因第2位という身近な病気です。加齢や高血圧などによって発症し、突然激しい症状が出るケースもありますが、息切れやむくみなどの場合は心疾患による症状だと自覚しづらい方もいるようです。不安な症状がある場合、まずは循環器内科など専門の病院・クリニックに相談してみましょう。

監修者

東京医科大学形成外科
医師 興津 寛

熊本大学医学部卒業。中国に留学し、漢方医学の研修を受ける。専門領域は内科、皮膚科、整形外科、形成外科

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