生活習慣病

脳血管疾患と脳卒中の違いは?代表的な症状と原因、予防方法を解説!

脳血管疾患と脳卒中は同じ脳の病気です。2つの病気にはどのような違いがあるのか?今回は、脳血管疾患と脳卒中の違いや代表的な症状、発症の原因や予防方法について解説します。

脳血管疾患と脳卒中はどう違う?

まずは脳血管疾患と脳卒中の違いについて解説します。

脳血管疾患(脳の血管のトラブル全般)

脳血管疾患は、脳の血管で発生する病気全般を指す言葉です。脳卒中も脳血管疾患の代表的な病気のひとつです。脳血管疾患には、脳卒中の他に以下のような病気が含まれます。

  • 高血圧性脳症
  • 脳血管性認知症
  • 無症候性頸動脈狭窄・無症候性頭蓋内動脈狭窄など

脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)

脳卒中は脳血管疾患の代表的な病気のひとつです。脳卒中には以下のような病気が含まれます。

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • くも膜下出血

脳の血管が詰まって血液が行き届かなくなり、脳細胞に異常が発生するのが脳梗塞、脳の血管が破れて発症するのが脳出血・クモ膜下出血です。どちらも脳の血管に発生したトラブルが原因で引き起こされます。

脳血管疾患のリスクと代表的な初期症状

脳血管疾患は、脳の血管の異常が原因で発症する病気の総称です。脳卒中も脳血管疾患に含まれるため、以降は脳血管疾患をメインに解説します。脳血管疾患のリスクと代表的な初期症状について解説します。

脳血管疾患のリスク

脳血管疾患のリスクとしては以下のようなものがあります。

死亡につながる可能性がある
脳血管疾患は脳機能に致命的なダメージを与えてしまう病気です。日本人の死因でも脳血管疾患は上位に入っており、脳血管疾患を発症すると死に至る危険があります。
参照:令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/dl/11_h7.pdf
一命を取り留めても、介護が必要になるケースも
運よく一命を取り留めたとしても、脳機能へのダメージによって後遺症が残る可能性があります。手足の麻痺・言語障害・歩行障害・感覚障害などを発症し、介護が必要になったり寝たきりになってしまったりする可能性もあります。リハビリによって日常生活に戻れるケースも多いですが、治療が長期に及ぶ傾向にあります。

脳血管疾患の代表的な初期症状

脳血管疾患の代表的な初期症状としては以下のようなものがあります。

  • 手足の力が抜ける
  • 片足をひきずるように歩く
  • まっすぐ歩けない
  • 片足に痺れがでる
  • めまいがする
  • 片目が見えなくなる
  • 物が二重に見える
  • 物につまずく
  • 言葉が出なくなる、詰まる

これらの初期症状に該当する症状がある場合は、何らかの脳血管疾患を発症している可能性があります。早急に医療機関を受診するようにしましょう。

脳血管疾患の原因は?5つの危険因子について解説

脳血管疾患の原因となる5大危険因子について解説します。

糖尿病

糖尿病によって、高血糖の状態が続くと動脈硬化が進行します。糖尿病の持病がある方は、脳梗塞をはじめ心筋梗塞などの病気にもかかりやすいとされています。

高血圧

高血圧は生活習慣病の危険因子のひとつです。高血圧の状態が続くと血管に大きな圧力がかり、血管壁が損傷して脳梗塞を発症することがあります。また、血管壁が破綻したり、血管に動脈瘤が発生し、脳出血やくも膜下出血を引き起こすこともあります。

喫煙

タバコを吸うとニコチン・タール・一酸化炭素が体内に入ります。その影響で全身の血管が収縮し、血圧が上がってしまいます。喫煙は高血圧の危険因子でもあり、タバコを吸う人は吸わない人の2~2.5倍程度脳血管疾患のリスクが高くなると言われています。

不整脈

不整脈は、高血圧や冠動脈の動脈硬化によって引き起こされる症状です。脳梗塞の一型である心原性脳塞栓症の最大の原因は不整脈による心臓弁膜での血栓の形成とされています。不整脈は、上述したように高血圧や冠動脈の動脈硬化によって引き起こされますが、健康な人でもアルコールやニコチンの過剰摂取、過度の疲労などによって発症することがあります。

運動不足

運動不足の状態が続いていると、末梢血管が細くなり高血圧や動脈硬化といった血管の病気になりやすいです。逆に、運動習慣がある人は血液を送る量が多くなり、余分なコレステロールを排除できるので血管の病気になるリスクを下げることができます。

脳血管疾患を予防するには?

脳血管疾患を予防するための方法について解説します。

食事

脂質や塩分の摂りすぎなど、偏った食生活は高血圧の原因となります。高血圧は脳血管疾患につながるため、食生活を改善し高血圧にならないように注意しましょう。減塩をすること、野菜・果物・海藻類など中心の食事にしてミネラルを多く摂ることが重要です。また、食事は1日3食で食べ過ぎない適量を意識してください。

運動

運動の中でも、有酸素運動を日常的に行うことで高血圧を改善し脳血管疾患を予防することができます。ウォーキング・ジョギング・自転車を漕ぐなどの軽い運動をできれば毎日30分程度を行うようにしましょう。

禁煙

喫煙は血管を収縮させ、高血圧の原因となります。毎日のようにタバコを吸う方は高血圧になりやすく、脳血管疾患を引き起こしやすい状態といえます。脳血管疾患のリスクを抑えるためにも禁煙をするか、タバコの本数を減らすようにしましょう。

関連記事:高血圧を予防する方法は?食事・運動療法と生活習慣の改善方法を解説!
https://www.asahi-life.co.jp/nethoken/howto/seikatsu/xxxx.html

禁酒・減酒

アルコールは一時的に血流を改善する働きがありますが、飲みすぎると動脈硬化の原因となってしまいます。また、お酒を飲む際には塩分濃度の高い食品を選んでしまう傾向があります。減塩という観点でもお酒はできるだけ控えた方がよいでしょう。

こまめな水分補給

水分が不足していると血液がドロドロになりやすく、血栓ができやすくなります。結果、脳血管疾患のリスクが高まるので、こまめに水分補給をしましょう。汗で水分が失われやすい夏場や入浴後や飲酒後は必ず水分補給をしましょう。

まとめ

脳血管疾患とは、脳卒中などを含む脳の血管が原因で発症する病気の総称です。発症すると死に至る危険性があり、一命をとりとめても後遺症が残ってしまい介護が必要になることも。脳血管疾患を予防するため、今回ご紹介した方法を実践してみてください。

監修者

東京医科大学形成外科
医師 興津 寛

熊本大学医学部卒業。中国に留学し、漢方医学の研修を受ける。専門領域は内科、皮膚科、整形外科、形成外科

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