生活習慣病

高血圧を予防する方法は?食事・運動療法と生活習慣の改善方法を解説!

高血圧は生活習慣病の危険因子のひとつです。健康のためには高血圧の予防が欠かせません。高血圧になる原因の他、高血圧を予防するための食事・運動療法について解説します。

高血圧とは?放置するとどんな危険がある?

高血圧の基準や、高血圧を放置することで発症する病気などについて解説します。

高血圧の基準

高血圧の基準は以下の通りです。

診察室血圧
収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上
家庭血圧
収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上

参照:厚生労働省 e-ヘルスネット 「高血圧」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html

高血圧が引き起こす病気は?

高血圧の状態を放置すると以下のような病気を引き起こす可能性があります。

  • 心不全
  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 脳出血
  • くも膜下出血
  • 大動脈解離
  • 大動脈破裂

血圧が高い状態だと心臓に負担がかかり、心不全のリスクが高まるとされています。また、血管が柔軟性を失って硬くなってしまう動脈硬化を発症することから、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を発症するリスクが高まります。

関連記事:動脈硬化とは?原因となる心臓や脳の病気や予防方法について解説
https://www.asahi-life.co.jp/nethoken/howto/seikatsu/arteriosclerosis.html

血圧の正しい測定方法

高血圧を予防するためには、定期的に血圧の測定を行うのがおすすめです。血圧の正しい測定方法は以下です。

【正しい血圧測定の方法】

  1. 起床後1時間以内、排尿を済ませて測定します。エアコンなどで室内の温度を快適な温度に調整しましょう。
  2. 椅子の背もたれに背中をつけて、両足を床について着座して、その状態で約1分間安静にしてから測定をスタートします。
  3. 血圧は毎回2回測定しましょう。約2週間毎日血圧を測定して、それを記録します。測定記録の平均を出すと、自身の血圧を正しく把握できます。

なお、食事をすると血圧が下がるので正しい血圧が測定できません。起床後、朝食前に測定するようにしましょう。

高血圧になる原因は?

高血圧になる原因としては、以下のようなことが挙げられます。

塩分の過剰摂取

令和元年「国民健康・栄養調査」によると、日本人の1日あたりの塩分摂取量平均値は「男性10.9g・女性9.3g」です。日本高血圧学会が推奨する食塩摂取量の目安は1日あたり6.0g未満であり、大幅に上回っていることがわかります。

参照:日本における食塩摂取量の現状と減塩推進への課題
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000760248.pdf

参照:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

肥満

肥満も高血圧の主な原因のひとつです。糖尿病、脂質代謝異常症の原因になることもあり、高血圧を予防するには肥満の解消が欠かせません。

喫煙

タバコの成分であるニコチンには、末梢血管を収縮させる作用があり、血管が収縮すると心臓に負担がかかり、より強い力で血液を送り出すため高血圧になりやすくなります。またタバコの煙に含まれる一酸化炭素は酸素と結びつく作用があり、タバコを吸うことで体内の酸素が減少して血液がドロドロになります。

ストレス

精神的・肉体的なストレスは高血圧を招きやすいとされています。特に仕事や人間関係による精神的なストレスは高血圧の原因になるとされています。また過労や寒暖差などの身体的なストレスも高血圧を招きます。

食事療法と運動療法が基本!高血圧を予防する方法

高血圧を予防する食事療法と運動療法について解説します。

食事療法

高血圧予防に最適な食事について解説します。

減塩・野菜多めの食事をする
普通に食事をしているつもりでも塩分の過剰摂取になっている可能性があります。まずは1日あたり8.0gを目安に減塩をすることが大切です。また、糖質や脂質の摂りすぎを抑えることも大切で、炭水化物も控えるようにするとよりよいでしょう。そして、特に緑黄色野菜を多めに摂ると良いでしょう。
ミネラルを多く摂る
カリウム・マグネシウム・カルシウムなどのミネラルは高血圧の予防に適した成分です。野菜・果物・海藻などを多く摂る食事を心がけ、これらのミネラルを摂取するようにしましょう。また、サプリメントなどで摂取する方法もおすすめです。
食物繊維を摂る
減塩・ミネラルを多く摂る(野菜・果物・海藻)のと合わせて、食物繊維も多く摂りましょう。食物繊維には、塩分を体外に排出する働きがあり、塩分の吸収を抑えてくれます。

運動療法

高血圧の予防に適した運動療法について解説します。

ストレッチ
ストレッチをすることで、筋肉だけでなく血管も伸ばすことができます。血管を伸ばすことで血流の改善効果が期待できます。血流が良くなると、血管への負荷が低減し血圧を下げる効果があります。ストレッチは立って行うものが簡単にできるのでおすすめで、全身を使うことでより血行が改善されやすくなります。ストレッチが難しい場合は、ふくらはぎなどの箇所をマッサージするのもよいでしょう。ふくらはぎなどをマッサージするだけでも、筋肉が刺激されて血流の改善が期待できます。
有酸素運動
高血圧の改善には有酸素運動が有効といわれています。有酸素運動とは息を切らさずに長時間続けられる運動のことで、代表的なのは、ウォーキング・ジョギング・水泳・水中歩行・サイクリングなどがあります。1日30分を目安にこれらの有酸素運動を日常に取り入れましょう。
激しい運動は避ける
激しい筋力トレーニングやスピードを重視したマラソンなど、強度の高い運動は心臓に負担をかけてしまい、かえって血圧が上昇してします。激しい運動を急に始めるのはできるだけ避けるようにしましょう。

生活習慣の改善

食事療法と運動療法に合わせて生活習慣の改善に取り組むことも大切です。

減煙・禁煙に取り組む
喫煙は高血圧の原因になります。喫煙者の方は、減煙や禁煙に取り組みましょう。
十分な睡眠をとる
睡眠時間が短いと高血圧になりやすいとされています。また睡眠時間は十分でも、睡眠が浅い方も同様に高血圧になりやすいので、睡眠時間を1日7~8時間確保する、寝具や睡眠環境を見直して睡眠の質を改善することも大切です。
ストレスをためない
精神的・身体的なストレスは高血圧の原因になります。ですので定期的にリフレッシュする時間を持つようにして、ストレスを溜めないように生活を心がけましょう。
温度変化に気を付ける
急激な温度変化は高血圧の原因になります。気温が高いと熱を放出しようとして血圧が低くなり、気温が低いと血管が縮み、血圧が上がるのが原因です。寒暖差が激しいと、それに伴って血圧が乱高下してしまうため、温度変化の影響を受けづらいように、衣類や空調を調整しましょう。

まとめ

高血圧は放置すると、心不全・心筋梗塞・脳卒中などの病気を引き起こす可能性があります。高血圧の方は病気を発症するリスクが高くなるため、今回ご紹介した食事療法・運動療法、生活習慣の改善に取り組んでみましょう。また、自身の血圧を把握するためにも、定期的に血圧測定を行うようにしてください。

監修者

東京医科大学形成外科
医師 興津 寛

熊本大学医学部卒業。中国に留学し、漢方医学の研修を受ける。専門領域は内科、皮膚科、整形外科、形成外科

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