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骨密度を上げる方法は?骨粗しょう症を予防するための食事・運動療法を解説!

骨密度は骨の強度を知るための指標のひとつです。骨密度を上げることで、骨粗しょう症の予防になるほか、身体にさまざまな良い影響があります。今回は、骨密度を上げ、骨粗しょう症を予防する方法について詳しく解説します。

骨粗しょう症はなぜ起こる?骨密度が下がる原因

まずは骨密度が下がる原因について解説します。

加齢によるもの

骨密度の低下の主な原因は加齢によるものです。骨密度は男女とも20歳ごろにピークに達し、その後40歳くらいまでは大きな変化がありません。しかし、その後、加齢に伴って少しずつ低下していき、骨がどんどんもろくなっていきます。高齢になると、骨密度が低下することで骨折しやすい状態になります。

閉経によるもの

骨密度の維持には、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」が大きく関わっています。閉経すると「エストロゲン」の分泌が減少して、骨密度を維持する働きが弱まります。よって、男性よりも女性の方が骨密度が低下しやすく、骨粗しょう症になりやすいといえるでしょう。

その他の原因

加齢や閉経以外にも、生活習慣の影響で骨密度が低下することがあります。代表的なのは、喫煙・飲酒・過度なダイエット・運動不足などです。骨密度が低下していく40歳以降、このような生活習慣を続けていると、より骨密度が低下しやすくなります。

なお、一度低下した骨密度を回復させることは非常に困難です。骨粗しょう症を予防するためには、若いころから骨密度の維持に必要な運動・食事を心がけ、「骨の貯金」をすることが有効です。しっかりと骨の貯金ができていれば、加齢や閉経によって骨密度が低下しても骨粗しょう症や骨折を予防することができるでしょう。

骨密度を食事で上げる方法

骨密度を上げる、または低下を防ぐには、食事療法が有効です。ここでは、骨密度を食事で上げる方法について解説します。

カルシウムを摂取する

カルシウムは、骨を構成する重要な成分です。1日700~800㎎を基準にカルシウムを摂取しましょう。

カルシウムを多く含む食品には以下のようなものがあります。

  • 乳製品
  • 小魚
  • 干しエビ
  • 小松菜
  • チンゲン菜
  • 大豆製品

ビタミンDを摂取する

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける成分です。カルシウムと合わせてビタミンDを摂取することで、より効率的にカルシウムが吸収されます。ビタミンDは以下のような食品に多く含まれています。

  • サケ
  • ウナギ
  • サンマ
  • メカジキ
  • イサキ
  • カレイ
  • シイタケ
  • キクラゲ

ビタミンKを摂取する

ビタミンKは、骨にカルシウムが取り込まれるのを促進する成分です。カルシウムの排泄を抑え、骨の破壊を防ぐ効果もあり、骨密度の低下を防ぐのに欠かせない成分といえるでしょう。ビタミンKは以下のような食品に多く含まれています。

  • 納豆
  • ほうれん草
  • 小松菜
  • ニラ
  • ブロッコリー
  • サニーレタス
  • キャベツ

食習慣で注意すべきポイント

食習慣で注意すべきポイントについて解説します。

カルシウムの吸収を助ける栄養素
マグネシウムは、骨の形成に関わる成分。ビタミンB6・B12・葉酸は、骨の強度を支えるコラーゲンの形成に関わっています。上述した成分と合わせて、バランス良く摂取しましょう。また、良質なタンパク質を摂取することも大切です。
スナック菓子やインスタント食品の食べ過ぎに注意
スナック菓子やインスタント食品には、カルシウムの吸収を阻害する食塩が多く含まれています。これらの食品を食べ過ぎると食塩の過剰摂取になり、骨密度を下げる原因になってしまいます。スナック菓子やインスタント食品の食べ過ぎには注意しましょう。
過剰な飲酒
食塩と同様に、アルコールもカルシウムの吸収を阻害する働きがあります。カルシウムの尿中排尿の促進・ビタミンDの働きの阻害といった働きもあり、摂りすぎると骨密度の低下を招きます。過剰な飲酒には十分に注意しましょう。

骨密度を運動で上げる方法

食事だけではなく、運動も骨密度を上げる、または低下を防ぐために有効です。運動不足気味の方は以下の運動を実践してみてください。

その場での片足立ち歩行
その場で、片足立ち(右足)で5秒間、次に、左足だけの片足立ちで5秒間、これを1セットとして、5セット繰り返します。
つま先立ち
両足をそろえて立ち、「つま先立ち」を10秒間行います。これを3回繰り返します。
ゆるいスクワット
スクワットは、フルに行うと、お尻がかかとに着くまでしゃがみ込む動作ですが、これでは膝を痛める可能性がありますので、両脚を適度に開いて、大腿部(もも)が、水平(90度)まで曲げず、約45度位に少しだけ曲げて、戻す。この動作を一度には10回ほど行います。
ネコと犬の動作
四つん這いの状態になり、初めは背中を丸めて顔は下を向ける(猫のポーズ)。次に、ゆっくりと背中を水平に戻し、さらに背中をそらして、顔は上の方を向ける(犬のポーズ)。この動作をゆっくりと、5回ほど行います。
片手で壁を押す
右手の場合は、右脚を前、左脚を後ろ、にして壁の前に立ち、右手の手のひらを壁に当て、右腕を伸ばして壁を押した状態から、少し(約10度くらい)曲げて、また伸ばす。これを5回ほど行います。左手も同様に、左脚と右脚を入れ替えて、左手でゆっくりと壁を押しながら、少し腕を曲げて、また伸ばします。

骨の強化には、適度な負荷が欠かせません。骨は負荷がかかるほど細胞が活性化し、より強くなろうとする性質があります。このような軽い運動を継続的に行うことで、骨に適度な負荷をかけて、骨密度の低下を予防することができます。

骨密度を上げて、骨粗しょう症を予防するためのポイント

食事療法と運動療法の他、骨密度を上げる、または低下を防ぐためのポイントについて解説します。

日光浴も重要

カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで生成されます。そのため、外出して日光浴をすることは、骨密度低下への有効な対策になります。夏場であれば30分程度、冬場であれば1時間程度、無理のない範囲で運動を兼ねて外出し、太陽の光を浴びるようにしましょう。

定期的に骨密度検査を

定期的な骨密度の検査も、骨密度の低下を防ぐには非常に重要です。自身の骨密度がどの程度なのかを把握することで、どんな対策が必要なのかを知ることができます。最近では、骨密度の検査を行っている自治体もあります。お住まいの地域の役所や保健センターなどに問い合わせて、定期的に自身の骨密度を測ってみましょう。

まとめ

骨密度が低下すると、骨粗しょう症にかかりやすくなり、骨折のリスクが高まります。骨密度は40歳以降、少しずつ低下していくので、若いうちから食事や運動で「骨の貯金」をおこない、骨密度の低下を予防しましょう。女性は閉経をきっかけに、より骨密度が低下しやすくなるため特に注意が必要です。今回ご紹介した食事療法や運動療法をぜひ試してみてください。

監修者

東京医科大学形成外科
医師 興津 寛

熊本大学医学部卒業。中国に留学し、漢方医学の研修を受ける。専門領域は内科、皮膚科、整形外科、形成外科

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